月経痛は“GAMAN”しない!生理痛の正しい知識とセルフケア方法

月経痛は“GAMAN”しない!生理痛の正しい知識とセルフケア方法

女性にとって毎月訪れる生理。人によって辛さが異なり、女性同士であっても理解し合うのが難しい問題です。

また生理は病気ではないため、どんなに辛くても仕事や学校を休めず苦しんでいる人も多くいます。

10代〜50代の女性に行った調査によると、各年代で8割以上もの女性が生理痛があると回答。(ユニ・チャーム株式会社調べ)

このように多くの女性が悩んでいる生理痛ですが、生理痛には日常生活に気を付けるだけで軽減することができるものと、病気由来できちんと治療しなければならないものがあります。

そこで今回は、生理痛の正しい知識とセルフケア方法についてご説明していきます。

機能性と器質性に分けられる生理痛

東京医療保健大学 和歌山看護学部 看護学科の福山智子教授によると、生理痛は医学的には「月経痛」や「月経困難症」と言い、原因から機能性月経困難症と器質性月経困難症に分けられます。

機能性月経困難症とは子宮や卵巣の機能が成熟していないために起こるもので、病的な原因はありません。症状は年齢と共に落ち着いていくことが多く、セルフケアで緩和することも可能と言われています。

一方器質性月経困難症は病的な原因が背後にあるため、産婦人科を受診し適切な処置を受けることが必要です。

【機能性月経困難症】
■子宮や卵巣の機能が整い切っていない10〜20代に多い
■子宮や卵巣の成熟に伴い症状が落ち着いていくことが多い
■セルフケアで緩和ができる
【器質性月経困難症】
■子宮や卵巣が成熟した30代以降に多い
■病的な原因があるため受診と治療が必要

機能性月経困難症と器質性月経困難症の見分け方

セルフケアで緩和できる機能性月経困難症と、すぐの受診が必要な器質性月経困難症は、痛みの出るタイミングでおおよその検討を付けることができます。

【機能性月経困難症】
月経開始の12時間前から、月経が始まって48時間程度までの周期性の痛み。
【器質性月経困難症】
月経期間中継続して痛みがある場合。放っておくと悪化して将来妊娠できなくなる可能性も。

そのほか痛みの場所も判断材料になるので、どの辺りにどのような痛みが出たのか記録を取るのも大切です。

福山教授によると、月経痛で産婦人科を受診した人のうち半分は機能性月経困難症。のこりの半分は器質性月経困難症です。

受診してどちらの月経痛なのか医師に見極めてもらう必要があります。

また機能性月経困難症でもセルフケアでは痛みがどうにもならない場合、低用量のピルを処方してもらえることも。

月経困難症と診断されれば医療保険が適用されるのでお金の負担も少なく、低用量のピルであれば体への負担も少なく済みます。

機能性月経困難症を緩和する正しい対策法

セルフケアで緩和ができることもある、機能性月経困難症の正しい対策法をご紹介します。

1.やわらげる

〜鎮痛剤を正しく服用する〜
鎮痛剤を服用し、痛みの原因であるプロスタグランジンの分泌を抑えます。

数ある鎮痛剤のうち、プロスタグランジンの分泌を抑えてくれるのはイブプロフェンという成分のもの。同じ鎮痛剤でもアスピリンやアセトアミノフェン(カロナール)は月経痛にはあまり効果を発揮しません。

また痛みが強くなってから鎮痛剤を服用しても、その時には血中にたくさんのプロスタグランジンが分泌されているため痛みを抑えることはできません。

痛みが強くなりそう、今日は痛くなったら困る、というときは前もって服用してくことが大切です。

2.温める

〜湯舟に浸かって体を温める〜
体の冷えは月経痛を悪化させてしまいます。シャワーだけではなくきちんと湯舟に浸かってください。

その際は清潔な1番風呂へ。浴槽内では水圧がかかるため経血が漏れ出てくる心配はありません。タンポンなどはつけずに入浴が可能です。

浴槽の淵をまたぐ際に腟に力を入れておけば、お湯に経血が落ちることも防げます。

〜お腹だけではなく、腰、肩、脚の露出を控えめにする〜
夏でも体を冷やさないよう、過度な露出は控えてください。特に月経中は要注意です。

特に冷えが気になる秋冬は湯たんぽやカイロの活用も有効です。

3.緩める

〜スパッツはやめ、こまめにお手洗いへ〜
月経の時、ナプキンがずれたり経血が漏れないようにきつめの下着やスパッツを着用する女性が多くいます。しかしこれはより血液循環を悪化させ、月経痛の悪化に繋がります。

月経痛を穏やかにするには締め付けの緩い下着の着用がオススメです。漏れやずれが気になるという方はこまめにお手洗いに行き、ナプキンや生理アイテムを交換してください。

〜軽い運動をする〜
ストレッチや骨盤を動かすような軽い運動を1日合計30分ほど行うことで血流を促進、月経痛を緩和します。

激しい運動は体調を悪化させる恐れがあるので控えてください。

4.休む

〜月経周期を把握し予定を組む〜
次の月経を見越して旅行やパーティーのスケジュールを調整、自律神経を整えるようにしてください。

また月経痛が重い人は、月経がはじまる頃から計画的に体を休ませるのも方法の1つです。

効いた対策をメモする記録法も有効

何日目にどのような痛みが出たか、経血の量はどうだったか、などと一緒に、この痛みにはこの対策が効いた、ということを記録する方法です。

その記録を元に自分に合う対策を見つけることで、月経期間をより快適に過ごすことができるようになります。まずは3か月続けてみてください。

器質性月経困難症の原因となる病気

機能性月経困難症と異なり病気によって起こる月経痛があります。その中で最も多いのが子宮内膜症です。

また40代で3人に1人、50代では2人に1人の割合で発症する子宮筋腫も見逃せません。

さらに近年増加しているのが梅毒や淋病、クラミジアなどの性感染症です。これらは病院で適切な治療を受ける必要があります。

子宮内膜症

本来子宮の中にあるべき内膜が子宮と肛門の間にあったり、卵巣にあったりすることで発生。

月経時に子宮の中で内膜が剥がれるのと同様に出血する。月経の度に血液が溜まってしまうので閉経するまで進行。

子宮筋腫

女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の作用で、子宮筋の中にある筋腫の種が大きくなり腫瘍となることで発症。

不妊の原因になることもあります。

性感染症

梅毒、淋病、性器クラミジア性感染症に代表される性行為によって感染する病気の総称。

特に性器クラミジア性感染症は日本で最も多い性感染症であり、子宮や卵管に炎症を起こし月経痛を悪化させるほか、不妊や母子感染を引き起こす可能性があります。

月経痛は“GAMAN”しない!

“GAMAN”という言葉は海外でも通じる日本語の1つ。そのくらい日本人は我慢することに長けています。

しかし月経痛は取り除いたり軽くしたりすることができるもの。我慢は厳禁です。

お母さん世代の方は特に我慢することで月経痛を耐えてきた方も多いはず。ぜひ自分の娘さんには月経痛は我慢しなくてもいいものだということを伝え、産婦人科の受診を勧めてください。

東京医療保健大学 和歌山看護学部 看護学科 福山智子教授プロフィール

所属/職位:東京医療保健大学和歌山看護学部看護学科/教授
同 大学院 和歌山看護学研究科/教授
同 和歌山助産学専攻科(2022年開設予定)/専攻科長(予定)・教授
学位・資格:博士(看護学)・看護師・助産師
専門分野:生涯発達看護学・母性看護学・女性看護学・助産学

MYRALS 編集部

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