最高の栄養素は日光浴!?ビタミンD不足解消・免疫力UPのための効果的な太陽光の浴び方
免疫力アップに欠かせないビタミンDは、食べ物やサプリメントを通して口から摂取することはもちろん、太陽光、特に紫外線を浴びることによって体内で生成させることも大切です。
ところが、コロナ禍での外出自粛によって陽に当たる機会が減ってしまったことから、ビタミンD不足に陥っている人も増えているようです。
そこで今回は、医学博士の満尾正先生に、日光浴の重要性と効果的な太陽光の浴び方を教えていただきました!
病気予防に欠かせないビタミンDは“日光浴”で生成される!
私たちの皮膚は紫外線を浴びることで、免疫力の維持に欠かせないビタミンDを生成しています。
紫外線は波長の長さによって、UVA(320〜400nm)、UVB(280〜320nm)、UVC(280nm未満)という3つの光線に分けられていますが、このうちのUVBとコレステロールから作られた「プロビタミンD3」という物質が皮膚で反応し、ビタミンDの前駆体である「プレビタミンD3」を作り、ビタミンDを生成しているのです。
最近では、皮膚ガンや老化の促進、美容の大敵というイメージから、「紫外線はカットすべき」という見方が広まり、太陽光を浴びること自体が避けられてしまいがちですが、実は免疫力の維持や病気予防に欠かせないビタミンDの生成を妨げることになるというジレンマが起きているのです。
日光浴のもうひとつの効能!体内時計を整える働きにもビタミンDの影響が
加えて日光浴には、人間の生命活動をつかさどる「体内時計」を整える働きがあります。
体内時計とは
生物が生まれながらに持っている、概ね24時間周期で刻まれる生理現象です。睡眠や覚醒のリズム、血圧、体温などと密接に関わります。
体内時計をコントロールするには
体内時計は、視覚領域から生まれる刺激信号によりコントロールされます。
朝に日光を浴びることで、約16時間後にメラトニンという睡眠ホルモンを分泌するスイッチが入るといわれています。
体内時計は厳密に24時で動いているわけではなく、多少のズレが生じますが、日光浴にはこのズレをリセットし、規則的な生活を送れるようにする働きもあるので、そのためにも日の光を浴びることは大切なのです。
体内時計の仕組みは「時計遺伝子」の働きによって起きている
体内時計の調整にもビタミンDが一役買っています。
体内時計の仕組みは、昼夜で活性の振幅が大きく変わる「時計遺伝子」の働きによって起きています。
さらに、時計遺伝子の発現を調べる実験の結果、ビタミンDが細胞に対して、体内時計を調整する刺激剤のような役目を果たしている可能性が示唆されました。
短時間でも効果を発揮!効果的な日光浴方法とは
免疫機能や体内時計の調整に欠かせないビタミンDを体内で十分に維持するための適切な紫外線の照射時間は、国立環境研究所地球環境センターが運営するWEBサイト「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」でチェックすることができます。
ここでは、国内12カ所の地域別に、ビタミンD 10μg(4000IU)を生成するために必要となる紫外線の照射時間を公開しています。
成人が1日に必要とするビタミンDの摂取量を15μgとし、そのうち約5μgを食物から摂取し、残りの10μgを紫外線から体内に取り込むという想定で設定されています。6月であれば、7〜15分程度の日光浴で十分です。
【6月下旬に神奈川県横浜市で日光浴をする場合】
■7分:半袖・半ズボンの場合(肌を1200cm²露出)
■15分:長袖・長ズボンの場合(肌を600cm²露出)
■40分:それ以上浴びると皮膚にとって有害
満尾先生からのアドバイス
もちろん、紫外線に強い肌の人もいれば、弱い肌の人もいますので、これはあくまで日本人の平均的な肌タイプを基準とした目安とお考えください。
また、太陽のエネルギーがもっとも高くなる夏至(6月21日)の前後2カ月は、直射日光が非常に強く、特に太陽が1番高いところにある10〜14時の時間帯に直射日光を浴びるのは体によくありません。
紫外線は反射光でも十分に取り入れることができるので、この時期は柔らかな日差しのもとで日光浴を行うのが安全でしょう。
また、ビタミンDの生成にも個人差があるため、より効率的な日光浴を求めるなら、専門の病院でビタミンDの血中濃度を検査し、その変化を医師に調べてもらうのがオススメです。
医学博士・満尾正先生 プロフィール
1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業。ハーバード大学外科代謝栄研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経て、2002年に日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)と、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の両方の資格を持つ、唯一の日本人医師。著書に『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す最強の食事術』(小学館)など多数。