リモートワークで社会的時差ぼけになってない?免疫力の低下を防ぐ4つの睡眠習慣
オンとオフのメリハリをつけづらい在宅勤務によって睡眠不足や睡眠リズムを崩したりしていませんか?
こうした睡眠の乱れは、生活習慣病になるリスクを高めます。
そこで、国際医療福祉大学大学院教授の中田 光紀先生に、睡眠が心身に与える影響や睡眠の質を高める方法について話をお聞きしました。
今回は、免疫力の低下を防ぐ4つの睡眠習慣についてお届けしていきます。
コロナ禍のリモートワークで進行する「社会的時差ぼけ」などの睡眠の乱れ
リモートワークの普及により生活にオン・オフのメリハリがなく、睡眠の質が低下した人が増えています。
規則正しい生活を送るために欠かせない睡眠リズムには、「社会的時差ぼけ」といわれる平日と休日の睡眠時間のズレが強く関与しています。
睡眠時間を十分確保できていると思っていても、このズレが大きいほど、体内時計が狂い、日中眠くなり睡眠問題の原因となります。
コロナ禍の生活リズムの変化は、多くの人たちに「社会的時差ぼけ」を生じさせるリスクを高めてしまっているのです。
睡眠の乱れは万病のもと!4倍風邪にかかりやすい…!?
睡眠の乱れは動脈硬化症、生活習慣病、重大な疾患、精神系の障害まで、想像以上に多くの病気にかかるリスクを高めてしまいます。
さらに、免疫力の低下を引き起こす原因にもなります。
その根拠として、睡眠不足の人は十分に休息をとった人より、4倍風邪にかかりやすいといった調査結果が出ています。
また、睡眠不足と免疫細胞数の関係性を分析した調査では、睡眠が不足すると、免疫の司令塔として知られるヘルパーT細胞や、ウイルスなどに感染した細胞や腫瘍細胞を殺傷するキラーT細胞などの免疫細胞が減少する傾向にあるとの結果が出ました。
コロナ禍の眠りの乱れを整える!免疫力の低下を防ぐ「4つの睡眠習慣」
免疫力の低下につながる睡眠の乱れを改善するには、量ではなく、睡眠のとり方や栄養の摂り方を工夫することが大切です。
「最近、睡眠の質が下がったかも…。」と心当たりのある人は、中田 光紀先生オススメの、次の4つの習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。
1.「社会的時差ぼけ」を1時間以内に収める
コロナ禍での睡眠の乱れで、最も深刻なのは「社会的時差ぼけ」。
平日と休日の睡眠中央時刻をできるだけズラさないようにすることが大切です。
2.午後に15分程度の仮眠(昼寝)をとる
15〜20分程度の仮眠は、夜の睡眠を向上させるのに効果的!
在宅勤務中の午後の仮眠で、リフレッシュして仕事に打ち込めるかもしれません。
3.睡眠環境や寝る前の準備を整える
高齢者において豆電球をつけて寝る人は、真っ暗にして寝る人と比べ、抑うつの発症リスクが高いとう調査結果があります。
就寝前には自分がリラックスできる習慣を取り入れましょう。
4.不足しがちなビタミンなどの栄養素を摂る
ビタミン不足は睡眠と免疫の両方に悪い影響を与えます。
ビタミンDには免疫力を向上させる働き、ビタミンCにはストレスへの抵抗力を強める働き、ビタミンB12には睡眠のリズムを整える働きがあることが知られています。
睡眠もバランスや積み重ねが大切!
食生活において、栄養バランスのとれた食事を毎日規則正しく摂ることが大切なように、睡眠もバランスや積み重ねが大切だと教えてくれた中田 光紀先生。
コロナ禍で乱れがちな睡眠も正しい習慣とリズムでケアしていきたいものですね。
国際医療福祉大学大学院 教授/医学博士中田 光紀先生プロフィール
早稲田大学人間科学部卒業後、東京大学大学院医学系研究科にて医学博士を取得。産業医科大学産業保健学部・大学院産業衛生学専攻教授、米国疾病予防センター労働安全衛生研究所チーム・リーダーなどを経て、2018年より国際医療福祉大学大学院で公衆衛生学や社会医学の分野責任者を務める。赤坂心理・医療福祉マネジメント学部学部長・心理学科長も兼任。睡眠医学やストレス・メンタルヘルス研究、精神神経内分泌免疫学など分野で研究を進める。