【皮膚科医解説】日焼け止めの正しい使い方&日焼け後の対処法
気象庁が発表する「日最大UVインデックス」の年間推移を見ると、2023年の東京における紫外線量の強さは、4月から増え始め、気温がまだ高い9月と同等となっています。
春だからといって紫外線対策をおろそかにしていると、知らないうちにダメージを受けていることも。
また、肌がデリケートな方は、毎日のお手入れにも注意が必要。健康な肌は、皮膚のバリア機能によってうるおいが保たれ、外部刺激から守られています。
しかし、体質や気温、環境の変化などで皮膚のバリア機能が低下している敏感肌の方は、刺激を受けやすいため、日々のスキンケアが重要になります。
そこで今回は、皮膚科医解説とあわせて日焼け止めの正しい使い方と日焼け後の対処法をお届け。
日焼け止めを塗るときに気を付けたいポイント3つ
日焼け止めをより効果的に使用し、紫外線による肌トラブルを防ぐためにはいくつかのポイントがあります。
1.日焼け止めを塗る前、落とした後には保湿をする
日焼け止めは、しっかり保湿した肌に塗ることが大切です。乾燥した状態の肌に日焼け止めを塗ると、皮脂が過剰に分泌されて皮脂崩れの原因となることがあります。
また、乾燥した肌は、肌表面がカサついており、日焼け止めやメイクなどが均一につきにくい状態にあります。そんな肌の上に日焼け止めを塗っても、ムラになりやすく、時間が経つと肌から落ちてしまうかもしれません。
肌を紫外線から守るには、日焼け止めを均一にムラなく塗ることが大切です。
また、日焼けの後は皮膚の水分が減っているため、いつも以上に入念な保湿ケアが必要です。肌にダメージを与えないよう、洗浄料はしっかり泡立てて、やさしく手で洗い、丁寧に保湿をしましょう。
2.正しい塗り方を意識する
【顔に塗る場合】
大きめのパール大くらいの日焼け止めを手に取り、額と鼻、両頬、あごの5か所に分けて、点々と日焼け止めを置いていきます。指の腹を使いながら、5か所に分けて置いた日焼け止めを、顔の内側から外側に向けて全体に塗り広げていきます。
【腕や足に塗る場合】
腕や足に塗るときは、日焼け止めを直線状に出します。直接容器から腕や足の塗りたい箇所に置いていきましょう。そして、手のひら全体で大きな円を描くように、腕や足全体に塗り広げていきます。このときも、必要以上に力を入れず、肌に負担を与えないようにやさしく塗ってください。
3.こまめに塗り直す
日焼け止めを使うときに大切なのは、こまめに塗り直すことです。
例えば、スポーツをしているとたくさん汗をかき、汗をタオルで拭くと日焼け止めがとれてしまう場合もあります。
汗をタオルで拭いたら日焼け止めを塗り直したり、日焼け止めの効果を十分に保つために、2~3時間おきに塗り直すことが大切です。
皮膚科医が敏感肌への5つの対処法を解説!日焼け後の肌は“◯◯”がマスト!
皮膚科医の高山かおる先生に「敏感肌への5つの対処法」を解説して頂きました!
済生会川口総合病院皮膚科主任部長。東京医科歯科大学大学医学部臨床准教授も併任。山形大学医学部卒。専門は、接触性皮膚炎、フットケア。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本臨床皮膚科医会常任理事。毎年「ひふの日」の企画を担当。
1.保湿をしっかりする
敏感肌の多くは肌が乾燥している状態にあることから、常に保湿を意識することが大事です。
塗りのばしやすいローションタイプの保湿剤で顔全体を保湿して、乾燥が気になる部分だけクリームなどを足してください。
低下しているバリア機能を補う効果が期待できる保湿成分配合のものを選ぶと効果的です。
2.生活習慣を改善する
生活習慣の改善も肌のためには大切です。栄養バランスが崩れてしまうと肌にも影響が出やすくなるため、3食しっかり、バランスの良い食事を心がけましょう。
食事と同様に睡眠も重要で、睡眠不足も肌の調子を悪くする原因のひとつです。しっかり睡眠時間を取ることは、肌の調子を整えることにつながります。
また、過度なアルコールやカフェイン摂取も肌には良くないため、過度な摂取は極力控えるようにしましょう。
同じく、タバコも肌の状態を悪くします。タバコは美肌サポートに欠かせないビタミンCを破壊してしまうので、喫煙者の方はできる限り禁煙することが望ましいです。
3.ストレスを溜め込まない
過剰なストレスも敏感肌の原因のひとつといわれています。
できるだけストレスを溜め込まないようにし、心身ともに健康的な状態を維持することも、敏感肌の改善へとつながります。
女性の場合、月経によるホルモンバランスの乱れも、肌が敏感になる原因のひとつです。
そんなときは、特に保湿ケアをしっかりと行うようにして、できるだけ肌に刺激を与えないように注意することが重要です。
4.皮膚は清潔に保ち、泡でやさしく洗う
帰宅後、日焼け止めをそのまま放置していると肌荒れが起きやすくなるので、なるべくすぐに洗い落としましょう。
ですが顔を洗うときに、その刺激で皮膚のバリア機能が低下することがあります。やさしく洗うことが大切で、石けんを泡立て手でなでるように洗います。
顔には皮脂腺があり、特に女性はメイクをすることから石けんや洗顔料を使うことをオススメしますが、洗い方にも注意が必要です。
顔は洗顔料を使い、2度洗いを行います。最初は少なめの洗顔料で顔全体を洗い、2度目はテカリが気になるところだけ洗います。
洗顔料を十分に泡立てるようにして洗いましょう。ただし、洗い過ぎには気をつけましょう。
5.日焼け後の肌には“◯◯”がマスト!
日焼け後の肌は熱を帯び、水分が蒸発して乾燥しています。皮膚のバリア機能も低下しているので、基本のスキンケア用品を使い、肌を十分に保湿しましょう。
ただし、肌に赤みやヒリヒリ感がまだ残っている場合は、保湿ケアの前によく冷やしてまずは肌の炎症を鎮めましょう。
日焼け後の肌は敏感になっているため、普段使っているスキンケア用品が合わないことがあります。敏感肌用のスキンケア用品など、できるだけ低刺激なものを選ぶことをオススメします。
また、化粧水を付けるときにパッティングするのはNGです。できる限り肌に負担をかけないように手のひらを使い、やさしくハンドプレスで浸透させましょう。
日焼け止めは肌質に合わせて選ぼう!敏感肌は低刺激タイプを!
日焼け止めは、「SPF」や「PA」が高いものを選べば良いというわけではありません。肌との相性はもちろん、シーンに合わせた日焼け止めを選ぶことが大切です。
【SPFとPA】
■SPFシミやそばかすの原因となる「UV-B(紫外線B波)」をカットする効果の高さを示す数値。数値が大きいものほど効果が高く、SPF50を超えるものは「SPF50+」と表示されています。
■PA
しわやたるみの原因となる「UV-A(紫外線A波)」をカットする効果を「+」~「++++」の4段階で表した指標。+の数が多いほどUV-Aをカットする効果が高くなります。
【ノンケミカル・無香料・無着色】
日焼け止めに含まれる紫外線を防ぐ成分は、大きく紫外線吸収剤(ケミカル)と紫外線散乱剤(ノンケミカル)の2種類に分けられます。
紫外線吸収剤は紫外線を吸収して、熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出することで、紫外線が皮膚に届かないようにします。
それに対して紫外線散乱剤は、紫外線を反射させ散乱させることで、皮膚に紫外線が届くのを防ぎます。
敏感肌の方は、刺激になりにくい「ノンケミカル」や「紫外線吸収剤不使用」のパッケージ表示の製品を選ぶと良いでしょう。石けんで簡単に落とせる商品が多いので、クレンジングによる肌への負担も減らすことができます。
他にも、無香料・無着色など低刺激な日焼け止めを選んで、できるだけ肌に刺激を与えないようにしましょう。
紫外線吸収剤フリーのオススメ日焼け止め3選
1.『ユースキン シソラ UVミルク』SPF38/PA+++
■40g/1,254円(税込)/無香料・無着色・低刺激性・紫外線吸収剤フリー・アルコールフリー
紫外線吸収剤フリーで、肌をうるおす日焼け止めミルク。汗や水で落ちにくいのに、石けんで簡単に落とせます。
2.『トランシーノ 薬用UVプロテクター』SPF50+/PA++++
■30mL/美白+乳液+日焼け止め+化粧下地+毛穴カバーの1本5役の多機能アイテム
美白有効成分「トラネキサム酸」、うるおい成分「角質層リファイン成分」配合。さらに「日中ダメージ着目成分」配合で、紫外線やPM2.5による肌ダメージに着目しています。
3.『キュレル UVカット デイバリアUVローション』SPF50+/PA+++
■60mL/紫外線・乾燥から肌を守り、消炎剤配合で肌荒れを防ぐUV。
負担感のないやさしい使い心地のすっとなじむローションタイプ。赤ちゃんのデリケートな肌にも。(医薬部外品)